造花製造工程簡易説明

FIAN Factory PV : https://www.youtube.com/watch?v=WczQaUv1b-k

造花製造工程の7割は人の手によって行われています。よって、造花製品製造コストの大きな部分が人件費となり、工員の従事状況によって大きく利益が左右されます。また、輸出する際にコールする価格も近年は短い期間で見積もり価格の見直しが迫られているのも現状です。10年以上前までは一度コールした製品見積り価格は最低1年はホールドできていましたが、近年では長くて半年といった期間になっており、工場によっては3ヵ月毎に見直しがある場合もあります。また各種原材料の高騰も続いているため、弊社工場においてもそうですが、製造工程の自動化(機械化)を積極的に取り入れています。

型と一言で言っても、多くの種類の型が存在します。型自体の素材も様々で、鉄、銅やシリコンなどでつくられます。元となる石膏型はとても重要で、特にFIANの商品は細部にわたって細かなディテールを要します。どの世界でもそうですが、石膏型職人はどの工場でも重宝されます。また、型でも各工程で使用されているものは、決められた回数使用後は必ずメンテナンスを施します。また規定回数を超えた型はリサイクルへとまわされ、新たな型として生まれ変わります。型にも色々と種類があり、カッティング型やヒーティング型、インジェクション用型など様々。一つの商品に10型~15型必要となり、1型あたり高価なものですし、オリジナルデザインを形成する重要なものでもあるので、工場の大事な財産と言えます。

ここでは主に茎の成型を行っています。茎といっても、短いものは10センチ程、大きいものは150センチやそれ以上のものもあります。100センチ前後の茎は大型インジェクション機械でワイヤーとPP(ポリプロピレン)プラスチック樹脂粒子を溶かして型内に流し込み、冷やして形成されます。また150センチ以上といった長ものは、繋ぎ成形をするため熟練のスキルを要します。短めの茎成型は短時間で量産可能を実現できるオートメーション化が進んでおり、1人の工員で10台もの成形機械を管理し、コスト削減に大きく貢献しています。

先ず生地が最初に出会うのが型抜きと言われるカッティング工程です。原始的な工程となりますが、いわゆる枚花びらの形につくられた型によって型抜き(カッティング)する工程となります。10枚程に重ねられた生地に型を乗せ、上からものすごい圧力で押し込んでつくられます。コスト面を考えれば、一度に多くの花びらや葉っぱを切り出すことでしょうが、あまり厚いと刃こぼれやカットした部分にバリと呼ばれる”ほつれ”が発生します。自社工場では、生地によって異なりますが、規定枚数でのカッティング工程を徹底しています。

染色方法には大きく分けて二つあります。一つは染料による染色方法。もう一つは印刷です。染色方法もいくつも染色する方法があり、ドブ漬け染色もその一つです。主な染色方法は染料液剤を注入して遠心分離機でグラデーションを施すものと、刷毛(ハケ)を使用したブラッシングです。FIANでは一つの花びらに多い場合は4、5色もの色を入れ込みます。その後、マイクロウェーブで色を定着させ、場合によってはその上にラバーやシリコン樹脂といったコーティングを施します。印刷はシルク印刷と転写印刷があり、特に葉っぱには本物の植物から転写した高度な印刷で色彩をリアルに再現しています。印刷機は色定着性に優れているEPSON製を使用しています。

転写印刷技術の風景です。転写印刷とは、生花や生葉をスキャニングし、プログラムに落とし込んで生地に印刷する高度な最新印刷技術です。ただ単に生花や生葉をスキャンして印刷するだけでは色彩に厚味が全くありません。生花や植物を熟知している人と、高度なシステムエンジニアとの協業でようやく生きた造花が生まれます。FIANでは、ドイツ人のフローリストデザイナーと、中国の電子大学を出た3人の精鋭と試行錯誤しながら5年もの年月をかけて実現できるようになりました。この技術は多くのメリットがあります。安定した色彩製造が常に可能であることと、一度完成した色彩プラットフォームが完成すると、無限のデザイナーズカラーフージョンをつくり出すことが可能となります。

ここでは、ヒーティング工程とインジェクション工程になります。ヒーティング工程とは、型抜きされた花や葉に立体を持たせる工程になります。分かり易く言うと、アイロン手法で熱しられた凹凸の型に生地を入れ込み、圧縮させることで生地に表情を付ける作業になります。その工程にPPプラスチック粒子を流し込み、茎などに差し込めるようパーツとしての成形も同時に行います。FIANは1枚1枚の表情を大切にするため、数枚づつヒーティングしています。

全てのパーツが完成したら、組立工程に入ります。ここでは全て人の手によって一つ一つのパーツを組み立てていきます。差込む際には各パーツが抜け落ちないようグル―液(接着剤)を付着させ組み立てていきます。ブランドタグやバーコードシールといった附属もここで設置されます。最近では中国内における精密機械工場や自動車などの重工業の工場製造が盛んになってきており、若年層はそういった環境と賃金メリットがある方へと流れています。最近の軽産業工場工員獲得は困難であると言えます。年々工員の高齢化が進んでいるのも事実です。工員費高騰の原因の一つとも言えます。

概ねここが最終工程である梱包となります。一つ一つ丁寧にまとめて、箱にセットしていきます。この時点で花や葉取れ、タグ間違えや色間違いなどの最終検品も行います。その後、外箱(カートン)に入れ込み、コンテナローディングの順番を待ちます。

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